※当記事からは、前回まで使用していた『非遺伝箇所』という名称を『自然発生箇所』に改めました。同様に、『非遺伝個体値』は『自然発生個体値』となります。
婆前固定( ´◔ ‸◔`)?
前回の記事を書いた後、タマゴの個体値だけが決まった状態でレポートを書くことを婆前固定と呼ぶことを知りました(事前の調査不足です。すみません)。用語はなるべく一般的なものに統一したいですが、現状使われている『婆前固定』という方法が、当該記事で今まで説明した厳選法と完全に一致しているわけでもなさそうなので、
タマゴを婆前固定した後、遺伝調整をして最良のステータスをもつポケモンを孵化させる方法を遺伝調整法と呼ぶことにします。
つまり、婆前固定は遺伝調整法のギミックの一部という定義にします。
当記事以降は、この婆前固定という用語も適宜使っていきます。
遺伝調整とは
遺伝調整とは何か。
原理の解説記事にあるような内容を実用的に解釈した結果生まれた方法です。
まずは遺伝調整法で用いた重要な性質。
BW2の育て屋では、婆前固定をして個体値が確定した状態からタマゴを産む両親を変えることができる。
ここでの“個体値”というのはやや広義的で、厳密にはこの段階では、個体値を決める元である“孵化乱数列”だけが決まっています。
タマゴの個体値は結局孵化乱数列から決まるわけですが、ここで重要なのは、
パワー系・メタモンの有無によって、個体値決定の際の孵化乱数列の“使い方”が異なる
ということ。
原理の記事でも解説しましたが、例えば下の表のような孵化乱数列になった場合、タマゴの個体値は、
①パワー系もメタモンも使わない場合
⇒6-13-27-先-先-後
②メタモンを親にし、どちらかにパワーアンクルを持たせた場合
⇒後-先-13-27-8-パ
また、②のパワーアンクルをパワーバンドに変えた場合(③とします)、使われる孵化乱数項は同じでも、個体値は
後-先-13-27-パ-8
に変化します。
このように、孵化乱数列が決定され一見個体値が確定しているように見える1つのタマゴには、パワー系とメタモンの有無を変えることにより生まれる、互いに少しだけ異なる複数の個体値パターンが存在します。
少しだけ異なるというのがポイントで、上の例の①と②では自然発生個体値が2つ共通しています。②と③ではパワー系による確定遺伝箇所の変化と、それに関連した自然発生個体値の位置の変化のみが起こっています。
個体値が“ずれている”という表現がしっくりくるでしょう。
婆前固定時のレポートから再開・リセットを繰り返せば、この互いに少しずつずれた複数の個体値パターンがそれぞれどんなものであるかを確認することができます。そして、その中で最も良いものを選択して生まれてくるポケモンの個体値とすることができます。今までの厳選法にはなかったこの一連の作業が、今回遺伝調整と名付けたテクニックです。
自然発生個体値の調整
4種類の個体値パターン
パワー系とメタモンの有無により、1つのタマゴの自然発生個体値には4種類の個体値パターンが存在します。
※この表での位置関係は必ずしも孵化乱数列内の順序と一致しません(後述します)。
①メタモンなし・パワー系有効(a,b,c)
②メタモンなし・パワー系無効(d,e,f)
③メタモンあり・パワー系有効(g,h,i)
④メタモンあり・パワー系無効(j,k,l)
個体値パターンがこの4種類に分類されることは原理を考えれば容易に分かります。ここで説明したいのは、『パワー系の有無』という表記をここにきて『パワー系の有効/無効』としたことについてです。
説明のため、パワー系を持たせない状態からパワーアンクルを持たせたときの、自然発生個体値の変化を考えます。
①遺伝箇所がH,A,Bの順で並んでいた場合。
γ,
δ, εからα, β, γに変化します。
②遺伝箇所がH,S,Bの順で並んでいた場合。
元々の遺伝箇所にあったSがスキップされることでその下のBが遺伝箇所として取られるため、パワーアンクルを持たせても遺伝箇所は変わらず、自然発生個体値もγ, δ, εのままです。
③遺伝箇所がH,A,Sの順で並んでいた場合。
元々の遺伝箇所にSが含まれ、パワーアンクルを持たせても遺伝箇所は変わりませんが、元々あったSがスキップされることなく遺伝箇所を決め終わるので、自然発生個体値はγ, δ, εからα, β, γに変化します。
以上から分かるように、パワー系での確定遺伝箇所が元々の遺伝箇所と被る場合を考慮すると、単にパワー系を持たせる/持たせないで個体値パターンを分類するのは不適切です。
そこで、パワー系の有効/無効という分類を定義します。
パワー系が有効である とは、パワー系によって遺伝箇所の変化が起こっている場合で、上の例では①が該当します。
パワー系が無効である とは、パワー系を持たせていない、またはパワー系を持たせていても遺伝箇所が変化していない場合で、上の例では②が該当します。
上の例の③はパワー系を持たせても遺伝箇所が変化しない場合ですが、その効能上例外的に、パワー系が有効であるパターンに含めます。
パワー系の有無はパワー系の有効無効と必ずしも一致しませんが、具体的にはどれくらいの確率で両者の不一致が起こるのでしょうか。
パワー系を持たせているにもかかわらず、それが無効となっているのは、
パワー系で固定した箇所が、元々の遺伝箇所の1番目または2番目に存在する場合。
その確率は、1/6 + 1/6 = 1/3です。
つまり、パワー系を持たせた親から生まれたタマゴでも、必ずしもパワー系有効パターンの個体値をとっているわけではなく、約33%の確率でパワー系無効パターンの個体値をとっています。後述する遺伝箇所調整を試みる際には、このことをよく心にとめておく必要があります。
個体値パターンの連続性
先ほどの4種の個体値パターンの表の下には、※この表での位置関係は必ずしも孵化乱数列内の順序と一致しません と但し書きを入れておきました。
本見出しでこれから説明するような例外が一切ない場合、あの表での各個体値パターンの、孵化乱数列上での位置関係は正しく、
b = g,
c = d = h, e = i = j, f = k
となります。したがって、メタモンやパワー系を使って自然発生個体値を都合よくずらすことができます。
しかし、実際にはこの試みを妨げるような例外が発生し、自然発生個体値の調整は多少やりにくくなっています。
その例外というのが、遺伝箇所の重複です。
分かりづらいですがここでの遺伝箇所の重複とは、使用する孵化乱数列上に同じ遺伝箇所が2つ以上存在し、項のスキップが起きていることを指しています。
重複がない例
|
重複がある例
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|||
遺伝箇所
|
自然発生個体値
|
遺伝箇所
|
自然発生個体値
|
|
H
|
H
|
|||
A
|
H
|
|||
B
|
a
|
A
|
||
b
|
||||
c (= d)
|
H
|
a
|
||
e
|
b
|
|||
f
|
B
|
c
|
||
d
|
||||
e
|
||||
f
|
①メタモンなし・パワー系有効(a,b,c)
②メタモンなし・パワー系無効(d,e,f)
③メタモンあり・パワー系有効(g,h,i)
④メタモンあり・パワー系無効(j,k,l)
引き続きこの分類を使用します。
遺伝箇所を決めるために孵化乱数列を参照していったとき、既に遺伝箇所として決まっている箇所が重複して現れたときは、その項をスキップするという規則は今までにも何度も使いました。
自然発生個体値として使う最初の項は、最後の遺伝箇所を参照した項の2つ下として決まっているので、それは遺伝箇所の重複があればあるだけ下にずれていきます。
遺伝箇所の決定は、
パワー系が有効のとき、2つ目
パワー系が無効のとき、3つ目
が決まった段階で終了するので、
2つ目の遺伝箇所までにある重複の数×2
だけ①または③の個体値が、
3つ目の遺伝箇所までにある重複の数×2
だけ②または④の個体値が
下の項にずれます。
さて先ほどの表を見ながら各パターンの位置関係を考えます。
メタモンなし
|
メタモンあり
|
||
①パワー系有効
|
②パワー系無効
|
③パワー系有効
|
④パワー系無効
|
a
|
|||
b
|
g
|
||
c
|
d
|
h
|
|
e
|
i
|
j
|
|
f
|
k
|
||
l
|
|||
メタモンなし・メタモンあり共に遺伝箇所の重複が1つもない場合はこの表の通りになります。このときは、例えば①と②、②と④などあらゆる組み合わせで個体値の連続性が見られ、高い個体値を共通項としてもつ別の個体値パターンを試すことで全体的な高個体値を再度狙うことができます。
しかし例えば、
メタモンなしの2箇所目と3箇所目の間、およびメタモンありの2箇所より前に重複がある(とても分かりづらいので、各パターンがずれた項数だけを問題にして②③④に1個重複がある、などと表しましょう)ときは
メタモンなし
|
メタモンあり
|
||
①パワー系有効
|
②パワー系無効
|
③パワー系有効
|
④パワー系無効
|
a
|
|||
b
|
|||
c
|
|||
g
|
|||
d
|
h
|
||
e
|
i
|
j
|
|
f
|
k
|
||
l
|
このようになり、①にあった②や③との連続性は失われます。
孵化乱数列のどこにどれだけ重複があるかによって、この連続性はいかようにも変わります。
実際の調整方法
基本的には遺伝箇所の重複は考えず、
メタモンなし
|
メタモンあり
|
||
①パワー系有効
|
②パワー系無効
|
③パワー系有効
|
④パワー系無効
|
a
|
|||
b
|
g
|
||
c
|
d
|
h
|
|
e
|
i
|
j
|
|
f
|
k
|
||
l
|
|||
この基本形を前提にして、高い個体値を残し低い個体値を切り捨てるように個体値パターンを選択します。
しかし往々にして、前述したようなパワー系の無効・遺伝箇所の重複が起きるため、思い通りの調整ができないことは多いです。
そのため自然発生個体値の調整は、『うまくいったらラッキー』程度に思っておき、あまり期待しないようにしましょう。
メタモンなし・パワー系ありで厳選を行なっているとして、そのときの自然発生個体値調整の一例を紹介します。
(例)(自然発生個体値) = (4, 27, 28)
= (a, b, c)?
メタモンなし
|
メタモンあり
|
||
①パワー系有効
|
②パワー系無効
|
③パワー系有効
|
④パワー系無効
|
4?
|
|||
27?
|
27?
|
||
28?
|
d
|
28?
|
|
e
|
i
|
j
|
|
f
|
k
|
||
l
|
|||
下2つが高個体値の場合です。例外はとりあえず無視して、表のような孵化乱数列になっていると予想します。
この場合は、aを切り捨ててb, cを残したいので、③の個体値パターンを見てみます。iが高個体値か、もしくは不要箇所の個体値となれば全体として高個体値になります。
ここからメタモンあり・パワー系ありの個体値を調べて、
(自然発生個体値) = (27, 28, x)となり、さらにxが高個体値となれば調整成功です。
(1)成功するパターン
メタモンなし
|
メタモンあり
|
||
①パワー系有効
|
②パワー系無効
|
③パワー系有効
|
④パワー系無効
|
4
|
|||
27
|
27
|
||
28
|
d
|
28
|
|
e
|
30
|
j
|
|
f
|
k
|
||
l
|
|||
例外のないきれいな形で、(自然発生個体値) = (27, 28, x)となり
いわゆる調整成功となります。
(2) 失敗するパターン
いくつか状況が考えられますが、例えば孵化乱数列が
のようになっているとうまく調整できません。
2回目、3回目で他の個体値パターンを試せば全体的な高個体を生める可能性はあります。
その場合は、4パターン全てを確認する勢いで、何も考えずに手早く個体値を確認していった方がいいでしょう。孵化乱数列を予測して最適なパターンを試そうとしても、かえって時間がかかります。(そもそも残りは2パターンしかありません)
(おまけ)確率的な考察
前提とする式など
以下は異なる個体値パターンを1回だけ試したときの、調整成功確率を表にしたものです。調整成功とは、個体値が基本形のようにうまくずれてくれることを指しています。
実際の厳選ではパワー系の有効・無効があり個体値パターンは完全には分からないので、メタモン・パワー系の有無で分類して成功確率を計算してみると、
①から④、④から①への調整は基本的にはありえないのでこの表では省略しました。
(表の見方)
例えばメタモン無し・パワー系有りで厳選中に出たタマゴの個体値を、③に変えようと試みてメタモン有り・パワー系有りで再度個体値を調べたケース。予想通り個体値がずれてそれが③である確率が34%、個体値のずれ方は予想通りだがその個体値パターンは④である確率が4%(遺伝箇所重複がたまたまうまく機能するとこうなる)、トータルで調整成功となる確率が40%。
つまり、自然発生個体値調整が1発で成功するのは約40%だと分かります。実際にはこの40%を引き当てた後さらに、新たに見えた自然発生個体値が高個体値もしくは不要箇所に移動可能でなければいけません。
遺伝箇所の調整
パワー系有効の個体値では、遺伝箇所の調整をすることができます。
これは至って簡単で、パワー系が有効であるという条件さえあれば、希望する遺伝箇所へパワー系を持ち替えるだけで遺伝箇所を変えることができます。
以下の利用法があります。
①優先順位の高い能力値の個体値を上げる
遺伝箇所は能力値をVにすることができる貴重な箇所なので、そのポケモンにとって重要な能力値に割り当てた方が好都合です。
(例)27-先-25-後-パ-28、高速アタッカーを孵化予定
⇒パワーアンクルを持たせ、27-先-25-後-28-パ とする
②自然発生個体値の位置をずらす
遺伝箇所の変更により自然発生個体値の位置は変わります。これを利用して、自然発生個体値のうち低い値を、不要箇所へ追いやることができる場合があります。
(例)27-先-6-28-後-パ
⇒パワーベルトを持たせ、27-先-パ-6-後-28 として物理型の孵化に使う
③遺伝先の変更
遺伝箇所の変更ではありませんが、パワー系無効の個体値であえてパワー系を使うことで、遺伝先を変えることができます。
(例)27-先-25-先-28-先
⇒遺伝箇所ACSのうち1, 2番目の箇所どちらかに対応するパワー系を後親に持たせ、
27-後-25-先-28-先
or 27-先-25-後-28-先 or 27-先-25-先-28-後 とする。
(1, 2番目の遺伝箇所がどこかは分かりませんが、ACSを順番に試していけばいいです。)
まとめ
期待値的に見て、基本的には遺伝箇所調整だけを狙いあわよくば自然発生個体値も、という考えでいいでしょう。とはいえタマゴが高個体値であるかどうかは自然発生個体値に大きく依存するのも事実なので、自然発生個体値を調整できそうなら1度ぐらいは調整を試してみることをおすすめします。なお遺伝箇所調整ができないことで個体値パターンの②④は①③に比べて劣るので、それも考慮に入れて、ある程度の割り切りを効かせて厳選をすることが重要です。
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